実践・研究・政策提案の3本の柱で社会を変える

NPO法人ドリームタウン代表理事・板橋区議会議員 井上温子さん

2022/06/10

修了生

OVERVIEW

NPO法人代表理事、板橋区議会議員として活躍される井上温子さんにお話しを伺いました。

壁にぶつかったら、学びのとき
 多世代共生型の地域の交流拠点を小学校区に設置することで、孤立せず、人と人とが自然とつながることのできる地域をつくりたい。そのような目標を持って、NPO法人を立ち上げ、現場で実践を行ってきました。2011年からは区議会議員になり、地域の交流拠点や住民主体の活動が広がるような政策提案を行ってきました。
 少しずつ、制度はできてきたものの、私自身が描く理想のものとはかけ離れ、価値が理解されていないと思い、壁にぶつかっていました。実践においても、政策提案においても、自分の中にあるものは全て出し切っている状態の中で、次の一歩をどうしたら良いのか。模索する中で、大学院に進学し、学び直してみようと考えました。

学生生活と修了後の私の変化
 私は、NPOと議員と大学院生と、同時に3つの顔を持ちながら日々を過ごしていたので、とても忙しい毎日でした。しかし、壁にぶつかって次の一歩を模索していた私には、学生として、何でも分からないことを質問でき、学ばせてもらえたり、多様なバックグラウンドを持った先生方にアドバイスしてもらえたりする環境や、利害関係なく交流できる仲間を持てたことは、とても貴重なものとなりました。また、多世代共生型の地域の交流拠点について研究していく中で、私が普段何気なく発している「居場所」や「共生」といった言葉の定義が、曖昧であったことに気がつけたのは大きな変化でした。今まで、「提案していることの価値が理解されない」と思っていたことが、私自身の中でも、整理されておらず、なぜ、その手法でなければならないのかということも明確ではなかったのです。悪戦苦闘しながらも、20代から実践してきた住民主体の「福祉制度を使わない」多世代共生型の地域の交流拠点について、一つの論文としてまとめることができました。
 現在は、新たに「福祉制度(就労継続支援B型)を活用した」多世代共生型の交流拠点を2021年10月から板橋区向原に開設し運営を行なっています。
私は、大学院に通う前と後で、「福祉制度を使わない」、「福祉制度を使う」と、全く反対のことを行っていますが、多世代共生型の地域の交流拠点について研究していく中で、運営手法よりも「生み出される福祉的な価値」に着目することができ、自分でつくっていたであろう壁を越えることができました。
今後も、「実践」、「研究」、「政策提案」という3つの柱を大事に活動を進めることで、多世代共生型の地域の交流拠点を普遍的なものにしていき、つながり合える地域社会を目指していきたいと思います。


※記事の内容は取材時点のものです。

プロフィール

PROFILE

井上温子さん

NPO法人ドリームタウン代表理事/板橋区議会議員
2019年3月修了

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