思考停止を打破せよ!研究科で学んだ「現実と向き合う力」

三菱食品株式会社 経営企画本部 戦略研究所 上席研究員 金子(地頭所) 裕美さん

2025/04/22

修了生

思考停止を打破せよ!研究科で学んだ「現実と向き合う力」

 社会デザイン研究科の一番の特徴は「多様性」です。年齢層は20代から70代までと幅広く、国籍、研究テーマ、職業(学生、社会人、公務員など)を超えて集います。そして、先生方はそれぞれの専門分野において第一線で活躍されている方々です。このような多様な背景を持つ学生と、専門性の高い先生方との対話やディスカッションは驚きと発見の連続です。その活気あふれる様子は想像に難くないでしょう。
 研究科で学んだことのひとつに、「固定観念を疑い、新たな視点から考える」ということがあります。
 例えば、経営環境のキーワードとして、「グローバル」は、よく用いられますが、私がこれまで見てきたグローバルは、所属する企業や業界、あるいは西側世界というフィルターを通した「世界」に過ぎませんでした。広い視野で、客観的に見ているつもりでいましたが、実際には「フィルターバブル」の中で、情報収集をしていたのかもしれません。また「環境問題解決」は経済成長のチャンスだという言説がありますが、環境問題の根本原因はは自然の回復や分解サイクルをはるかに上回るペースで地球を搾取していることにあります。そのような状況で、さらに「成長すべき」でよいのでしょうか。成長という常識があまりにも浸透しすぎて、「思考停止」に陥っていたように思います。
 戦争という難しい問題についても、授業を通して自身の無知を痛感しました。「もう止めてほしい」と願い、罪のない市民が、戦禍で苦しむ姿に心を痛めながらも、何もできない自分に絶望し、次第にその現実から目を背けていました。しかし、何もできなくても、事実を知り、認識し続けることこそが、社会は変えていく第一歩であることを学びました。
 このように、研究科での学びは、固定観念を疑い、批判的に考える力を養うことに役立ちました。目の前にある課題に真摯に向き合い、小さな実践を積み重ねていくことこそが、社会変革につながると信じ、今後も努力していきたいと思います。


※記事の内容は取材時点のものです。

プロフィール

PROFILE

金子(地頭所) 裕美  かねこ(じとうしょ) ゆうみ さん

電機メーカーのインハウスシンクタンクにて生活研究、未来研究、社会デザイン研究のプロジェクトに携わる。その後、三菱食品株式会社経営企画本部戦略研究所上席研究員。修論のテーマである「持続可能な食」をビジネスを通じて探求中。
2024年3月修了

CATEGORY

このカテゴリの他の記事を見る

お使いのブラウザ「Internet Explorer」は閲覧推奨環境ではありません。
ウェブサイトが正しく表示されない、動作しない等の現象が起こる場合がありますのであらかじめご了承ください。
ChromeまたはEdgeブラウザのご利用をおすすめいたします。